外国人労働者の最低賃金は、日本で働く以上日本人と同じです。
日本国内では、外国人労働者の受け入れが増加しています。
日本のあらゆる仕事で人手不足問題が進行している為です。
外国人労働者が日本に来て働く理由はまずは賃金にあります。
・外国人労働者を雇い入れたいが最低賃金いくらで設定すれば良いの?
・家族が外国人労働者で日本で働きたいと言ってるが心配
・自分自身が外国人労働者で最低賃金が知りたい
・外国人労働者なのだが日本の最低賃金以下や未払いが心配
こういった方々の心配はこの記事でスッキリ解決すると思います。
外国人労働者の最低賃金はいくらか?
や未払いが起きた時の解決策について詳しくみていきましょう。
最低賃金とは?
全国47各都道府県毎に定められていて、
・地域別最低賃金
・産業別最低賃金
に分かれています。
最低賃金の定義としましては、
月額の給与を労働時間で割り、時間当たりの賃金として算出したもの。
最低賃金制度は労働者がその地域で最低限不自由なく暮らしていけるように毎年の物価変動などに基づき定められています。
例:
日給12000円の場合、所定労働時間(実働8時間)であれば、
12000÷8=1500
1500円/時給
注:
・時間外手当
・通勤手当
に関しては、最低賃金の計算上対象外となります。
なので、金額そのものだけを見るのではなくて労働時間についても並行して考えなくてはなりません。
例えば、人並みに給与をもらっていたとしても労働時間が異常に長ければ最低賃金以下になる可能性もあります。
そういった観点から最低賃金について今一度考えてみる必要があります。
地域別最低賃金
参照:日本労働組合総連合会参照
https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/roudou/chingin/saiteichingin_area.html
各都道府県毎に設定されている地域別最低賃金は毎年10月に改定されています。
各地域にランク付けされていて、ランクによって最低賃金が異なっていきます。
Aランク:
埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪
Bランク:
茨城、栃木、富山、山梨、長野、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、広島
Cランク:
北海道、宮城、群馬、新潟、石川、福井、岐阜、奈良、和歌山、岡山、山口、徳島、香川、福岡
Dランク:
青森、岩手、秋田、山形、福島、鳥取、島根、愛媛、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄
Aランクの最低賃金が高く、Dランクに向かう程最低賃金が低くなっていきます。
産業別最低賃金(特定最低賃金)
・特定の産業について定められている最低賃金
・地域別最低賃金より高い水準である
(特定の業種に対し、地域別最低賃金より高い賃金を支払うべきだと「最低賃金審議会」が判断した場合の賃金額)
例:
鉄鋼業・電子部品、デバイス、電子回路・自動車関連業などの製造業を中心に指定
地域によっても異なり、
北海道
→処理牛乳・乳飲料、乳製品、糖類製造業
千葉県
→調味料製造業
など地域ならではの産業が指定される事もあります。
企業としては最低賃金を下回る事は許されません。
→日本語能力に難がある。
→円滑なコミュニケーションが取れない
などの理由があったとしても最低賃金を下回る事は許されないのです。
最低賃金は時間によって定められているが、
月給であったとしても時間に換算して最低賃金を下回る事は違法です。
注:
・地域別最低賃金
・特定最低賃金
の両方が該当する場合には、
会社側は金額の高い方を採用しなければいけないというルールがありますのでご注意ください。
最低賃金法について
厚生労働省 地域別最低賃金一蘭
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/
日本には「最低賃金法」という法律があります。
最低賃金制度とは、「最低賃金法」に基づき国が賃金の最低限度を定め、
使用者は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度です。
・最低賃金未満の賃金しか支払わなかった場合には、最低賃金額との差額を支払わなくてはならない。
・地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、最低賃金法に罰則(50万円以下の罰金)が定められている。
・特定(産業別)最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、労働基準法に罰則(30万円以下の罰金)が定められている。
以上のように「最低賃金法」を守らなければ違法となり、罰則が設けられています。
外国人労働者の場合、こういった基本的な知識不足や相談窓口の認知が乏しい場合が考えられます。
定期的に教育できる機関やセミナー、強制力をもった相談窓口の周知を定期的に行える機関が必要になるかもしれません。
外国人労働者の最低賃金
外国人労働者も日本の最低賃金が適用されます。
最低賃金法は国籍に関係無く適用され、企業は外国人労働者に最低賃金以上の金額を支払わなければなりません。
外国人労働者も日本で就労している限り、
・労働基準法
・労働安全衛生法
・最低賃金法
は適用されます。
更に、こういった労働保護法規だけでなく、
・職業安定法
・労働者派遣法
・労働組合法
も全て当てはまります。
※在留資格などの入管法(出入国管理及び難民認定法)で違法な就労をしていたとしても適用
休業損害に対する賠償発生もあるので、
・国民保険
・厚生年金
・健康保険
なども同様適用です。
※国民健康保険は1年以上の滞在が見込まれるものに適用
以上の事からも外国人労働者も日本人と同じように大切に扱うべきでしょう。
偏見や差別の無い世の中になれば協力し合って新たなシナジーを生み出す事もできます。
最低賃金は技能実習生も同様
社会問題になっている「技能実習生」に対しても最低賃金や労働基準法は適用されています。
実情、一部の悪徳業者や雇用主が搾取している事が多いのが課題です。
そこをどのように発見し、注意喚起、統制を整えていくのかが課題でもあります。
また、最低賃金に関しては技能実習生は勿論、不法労働者であっても適用されます。
最低賃金は毎年上昇している事から企業にとっては負担も大きくなってしまいます。
しかし、最低賃金上昇に伴い「助成金制度」もあります。
そういった制度を上手に活用していただき、適切な事業運営をしていただくようサポートさせていただけたらと思います。
外国人労働者に最低賃金未払いのケース
外国人労働者に最低賃金が未払いになる場合があると報道などで取り上げられています。
理由としては、貧困な国から出稼ぎに来日した外国人労働者の心理を逆手にとっている事。
言葉の壁や法律などの知識差を利用して、最低賃金未満の違法な労働契約を締結するなどです。
劣悪な環境下で労働させる事で結果として短期的な入職、離職を繰り返してしまう事で試用期間が終わってしまい継続できない場合が多いです。
賃金未払いではなくとも最低賃金以下に設定している企業もある事が問題です。
最低賃金以下の不当賃金体系を採用する企業
一部の企業では、明らかに不当な定額賃金体系を採用するなどが行われています。
日本国内で日本人に対しても例えば「労働条件通知書」と相違のある内容で給与が振り込まれたらどうでしょうか。
それと同じで外国人労働者も
・労働の欠如
・離職率上昇
・信頼関係の破綻
などを招いてしまいます。
また、あってはならないのですが
「来日した外国人に対して労働者としての一定のリスペクトがない企業がある」
というのも実際問題ある事でしょう。
しかし、外国人労働者に対してこういった事実があれば、求人にも影響を及ぼします。
求人をかけても人材が集まらない事、企業にとってもダメージを受ける事も考えられます。
更に風評被害になる可能性もありますので、言葉の壁がある事をいい事に非誠実な事はやめるべきです。
もしそういった未払いや最低賃金以下の給料が支払われたなどがあった場合は、然るべき相談窓口に相談するべきでしょう。
最低賃金以上を支払わない場合の解決策
最低賃金以上を支払わない場合は、雇用者に罰則(ペナルティ)が与えられます。
まず、最低賃金以下で従業員を働かせた場合、従業員からの請求がなかったとしても、差額を支払う必要があります。
これに違反すると、以下のような罰則があります。
・地域最低賃金額以上の賃金を支払わない場合は、最低賃金法違反で50万円以下の罰金に処される
・産業別最低賃金額以上の賃金を支払わない場合は、労基法違反により30万円以下の罰金となる
外国人労働者から日本企業が悪い印象を持たれる事でレピュテーションリスクがあります。
要するにレピュテーションリスクとは、企業やブランドに対するネガティブな評判が広まるリスクの事を示します。
ただし、一般的な労働者よりも著しく労働能力が低い場合に都道府県労働局長の許可を受ければ個別に最低賃金の減額ができる特例があります。
企業側、労働者側双方に言い分がある場合もありますので、然るべく措置を撮る為に相談機関などを用意しておくのも良いでしょう。
外国人労働者の賃金格差について詳しく読みたい方はこちらの記事をどうぞ!
→【転職王】外国人労働者の賃金格差理由って何?解決策や対策5選!
まとめ
物価が違う事により、外国人労働者に最低賃金以下の報酬を支払う企業が増えています。
しかし、母国への仕送りの為に労働時間を増やして更に稼ぎたいという外国人労働者がいる事は事実です。
外国人労働者にも日本人と同じく、最低賃金だけでなく労働基準法も適用されます。
外国人技能実習生・外国人労働者の待遇は現在も改善しておらず、中には渡航前に提示された半額の賃金しか受け取っていないという外国人もいるのが現状です。
外国人労働者の待遇は、今後外国人労働者の受け入れが進むとともにますます大きな問題となっています。
偏見や差別をなくし誰もが幸せになる事を望める世の中にする為にルールはしっかりと定めるべきです。
外国人労働者に特化した求人企業であれば、
・最低賃金がいくらなのか?
・最低賃金以下では駄目
という事を認識している可能性が高いです。
しっかりと確認して条件書等を出していただいてから、
内定を承諾する事が必要でしょう。
外国人労働者の差別問題については、
こちらの記事でまとめてありますので合わせてお読みください!
→【転職王】外国人労働者の賃金問題4選!実態をわかりやすく解説