表にあるように外国人労働者を雇用する機会が近年益々増加傾向にありますが、賃金格差問題も顕著に表れています。
外国人労働者の賃金格差理由としては、
・物価の違い
・言葉の壁による賃金下げ
・コミュニティ不足を利用した搾取
などが挙げられ解決策・対策についても知識を得る機会がないのが現状です。
賃金格差の理由と改善策・対策についてわかりやすくまとめてみました。
<外国人労働者の賃金格差理由>
外国人労働者の賃金格差について実際にどれくらいの格差が生じているのでしょう。
・正社員の場合、日本人と同じ職種であったとしても外国事労働者の平均月収は4.6万円安い。
・技能実習生のアンケートで同じ職種であっても日本人より低水準の給与と回答した雇用主46.7%
こういったデータを元に外国人労働者の賃金格差の争点となるものを考えてみましょう。
物価の違い
・外国人労働者の賃金は、母国の収入と比較すると多い場合がほとんど
・出稼ぎの為に来日している場合が多い。
・外国人労働者の多くは日本に出稼ぎに来ているので賃金が安すぎると早期退職してしまう。
物価の違いがある為に出稼ぎに来ている外国人労働者が多い為、同じ労働力だったとしても賃金が安くても不満が生じにくい現状があります。
しかし、実際は最低賃金を守っていない悪い会社があるのが問題です。
また、最低賃金さえ守っていれば良いというものでもなく、本来であれば同じだけの拘束や労働が生じるのであれば同じだけの賃金を支払うべきです。
→外国人労働者の最低賃金はいくら?2種類の制度と未払い解決策!
言葉の壁
・外国人労働者の適正な賃金は外国人だからといって特別な給与設定は無い。
・前提条件として既に言葉の壁がある為、業務に支障が出る。
などのコミュニケーションの障害などを理由に賃金格差を生んでしまうケースがあります。
しかし、いくら言葉の壁があろうとも日本で働く以上は「最低賃金法」は適用されるので本来であれば理由にはなりません。
<外国人労働者の賃金格差対策>
外国人労働者の賃金格差を無くす対策としては、
・同一労働同一賃金の活用
・給与水準の見直しと統率
・離職率改善への取り組み
が必要だと考えられます。
一つ一つ見ていきましょう。
同一労働同一賃金
こちらは、外国人留学生のアルバイト時給の推移を示したものです。
厚生労働省の見解で「同一労働同一賃金のガイドライン」が明示されています。
・労働者の能力または経験に追じて支払うもの
・業績または成果に応じて支払うもの
・勤続年数に応じて支払うもの
などなど趣旨、性格に応じて様々である現実を認め、実態に違いあるかどうかで判断し正当な賃金を支払わなければならないです。
しかし実情は、データにあるように賃金格差は一目瞭然というところで課題は浮き彫りとなっています。
給与水準
外国人労働者の給与水準は、本来日本人労働者と同一です。
技術や貢献度、成果、出勤数や残業などに応じて給与が変動する事はあります。
しかし、基本的にそれは日本人も同じです。
実際問題、日本より賃金が低い国から来ているからといって給与水準を下げている企業もあるのが実態です。
そういった邪な理由ではなく、外国人労働者の賃金は日本人と同じ基準で設定するべきです。
日本でキャリアを構築していけるようにサポートできる体制を整える事で世界の架け橋になり相対的に経済が発展する視点を持つべきです。
その為には、外国人労働者に対しても雇用契約書や労働条件通知書に認知をしっかりさせ、その下地となる知識を学ぶ環境が必要でしょう。
外国人労働者の離職率
参照元:https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2111/07/news017.html
日本人と外国人労働者には離職率の差があります。
外国人労働者の離職率が高い企業は外国人の平均月収が10.6万円も安かったという実態があります。
外国人の離職率が低い企業群では外国人労働者の平均月収が1.9万円安いに留まったという実態もあります。
全体平均月収は4.6万円の格差ではありますが、実際に賃金格差があればある程に離職率が高まるのは必然です。
これは外国人労働者に限らず、日本人であっても同じように言えるはずです。
外国人労働者も日本にいれば情報が入ってきます。
不誠実に対応している企業であれば情報を得る事によって不満や疑問も出てきて信頼関係を壊す原因にもなりかねません。
<住民形態による税金の違い>
外国人労働者が「居住者」か「非居住者」によって課税方法が違います。
外国人労働者は日本のように様々な税金が給料から天引きされるシステムに馴染みがないので給与を渡すタイミングでトラブルになる事を気を付けましょう。
→日本に居住する期間が1年以上は「居住者」
→1年未満の場合は「非居住者」
「居住者」→源泉徴収する
「非居住者」→租税条約による免税適用がある場合の除き給与から20.42%の所得税を源泉徴収
※滞在予定期間の分かる「在留資格認定証明書」「在学証明書」などで確認
<年功序列的賃金の日本型雇用問題>
外国人労働者と日本人が同じ職種の正社員であった場合、勤続年数などの差も考えられるが年子序列などの日本の古い風習や制度に外国人労働者を組み入れようとする事でせっかく採用した外国人材の離職を招く可能性があります。
・賃金に限らず外国人労働者の働きやすい環境整備
・外国人材の強みを生かせる部署の配属
・コミュニケーション機会の創出
・外国人用のマニュアル・業務資料の準備
実際に外国人労働者の離職率が低い企業群では、一例としてこういった事に取り組んでいたそうです。
これは、「パーソナル総合研究所」の「外国人雇用に関する企業の意識・実態調査」によるデータです。
既存のルールに当てはめるのではなく、変化が必要だという事です。
<外国人労働者賃金格差の解決策5選>
外国人労働者の賃金格差は、雇用側の勝手な言い分や間違えた考えによるものが多い印象があります。
そこで、外国人労働者の労務環境や今後世界的に経済成長していく事を踏まえ国境を超えて労働力やスキルのシェアを考慮する必要があると考えます。
前提条件として、外国人労働者の労務環境を整えたり守る機関が以下の内容に注意喚起するべきだと考えます。
一つ一つ見ていきましょう。
1.中間搾取(ピンハネ)禁止
労働基準法第6条「何人も、法律に基づいて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない」
ピンハネをしているかどうかについては、報酬を提示する義務についてしっかり理解し外国人労働者の権利を守る機関設立が必要だと考えられます。
2.最低賃金制度
業種や地域によって賃金の最低額を保証する制度で日本で働く以上外国人労働者にも適用されます。
現在、各都道府県の地方最低賃金審議会の審議に基づき、各都道府県労働基準監督局長が地域別・業種別最低賃金を決定・公示しています。
この水準を下回る賃金契約は違法となり、最低賃金との差額を支払わなければなりません。
また、もし労働契約の段階でこれに反する場合は外国人労働者が在留資格を取得できない可能性がありますので気を付ける必要があります。
中には、「外国人労働者は教育に時間がかかるし、言語力に乏しくコミュニケーションに難がある場合が多いから賃金を安くできる」などと考える雇用主もいますがそれは間違いです。
最低賃金法は、国籍に関係なく適用されます。
詳しくはこちらの記事に書いていますので一度確認してみてください。
→外国人労働者の最低賃金はいくら?2種類の制度と未払い解決策!
3.在留資格
就労が認められる「人文知識・国際業務」「技術」「技能」等の各在留資格取得の条件として入管法にて定められる事項として、当該外国人労働者が日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることが条件となっております。
また、現在の入管法にて認められている上記の就労可能な在留資格においては担当する職務に関連する大学の専攻学部等を卒業したか、又は実務経験が問われるなど単純労働ではない業務にて認められていますので、新卒及び中途にて採用する場合には日本人を採用した場合の賃金を参考としてそれと同等額以上の賃金を確保してければなりません。
※要するに法律や道徳、モラルに基づき外国人労働者を守り統率を取る強い組織が必要かと思います。
それによって日本国内での日本人による労働環境も整う事になると考えられます。
→外国人労働者の最低賃金はいくら?2種類の制度と未払い解決策!
4.同一労働同一賃金
2020年4月から「同一労働同一賃金」がスタートした事は記憶に新しいのではないでしょうか。
これは、外国人労働者にも適用されます。
5.技能実習生でも最低賃金は同じ
外国人労働者の中でも「技能実習生」という括りは日本からの技術移転を目的にしています。
しかし、最低賃金以下で労働させる事はできません。
例えば、受け入れ企業と技能実習生が最低賃金以下で合意して労働契約を締結していたとしても無効となります。
是正勧告をしたにも関わらず、最低賃金以上の金額を支払わない場合は入管法に基づく不正行為の対象となる可能性があります。
その場合、管理団体や受け入れ先企業は技能実習生の受け入れを一定期間停止されてしまう可能性があります。
これらの不正行為については毎年処分事例がありますので注意が必要です。
<まとめ>
結論、外国人労働者の賃金格差は、
・物価の違いから賃金を安くしやすい。
・言葉の壁でコミュニケーションがはかりにくい。
・離職率が日本人より高い傾向にある。
などがあり、賃金格差を生まない為に対策や解決策を考える必要があります。
外国人労働者の賃金格差を無くす為には以下の解決策・対策が必要だと考えられます。
・最低賃金法は国籍を問わず全ての労働者の適用される制度
・外国人労働者のスキルや経験、知識に応じて適切な賃金設定をする為の機関・コンサル
・賃金格差を無くし活躍に見合う最適な賃金を支払う事で挑戦しやすい働きやすい環境作りが大切(罰則)
これらはひた隠しにして放置する悪徳会社もある為に、行政を通して第三者機関的立場で入っていく必要も考えられます。
しかし、いくら正しい事といえど日本の経済を向上させるために双方にメリットのあるWINWINな私取り組みが必要です。
その中でも妥協点を見つける事も一つの課題と思われる為に、しっかりと練っていく必要があると考えられます。
これから更に増えるであろう外国人労働者の賃金格差を無くす事は、日本の企業で働く全ての人に向けての改善策に成り得るでしょう。
外国人労働者の差別問題については、
こちらの記事でまとめてありますので合わせてお読みください!
→【転職王】外国人労働者の賃金問題4選!実態をわかりやすく解説